ふたご座流星群を 私が空からいつか降らしたげるから そん時はよろしくね 街中に花火を、打ち上げてよね

今日なんて失くなれ。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い気持ちが悪い、顔が悪い人生が悪い、アイツが悪い先生が悪い。悪くない。胃が稼働しながら整備不良を発覚させてゆく、今日さっき帰り 電車の中とつぜん外が光った時、車内の全員が自分のことを見た気がした。気のせいだった。でもすこし怖かった。雨が降り始めて窓を閉めた誰かを睨んだ。目が合ってすぐに逸らした。ぼーっとしてると本読んでると乗り換えの駅を過ぎて、初めて変な駅に着いた。京王片倉。ださ。なんやこのぽんぽこたぬきオヤジみたいなまとまりの無い(あのおっさんは落ち着きも無かった)名前の駅は、と思ったけど、ぽつりと降りると空気がそこには有って、そう輪郭が残像みたく空間にゆらって視えた。孤独を炙り出された気がした。でもいいなと思った。あの豪雨の泣き出しそうな明度と噛み切れそうなトタンの半端な屋根、錆びと向こうの木の柵の色はほぼ同じ、その目線の先のあっち側に広がるまるで自分ちの庭みたいな、つけ合わせみたいな、あの正直な景色が何だかとても心地良かった。スマホの充電は切れてた。身体は疲れ切っていて、連絡手段も現在値を調べる手段も無い、いきなりの豪雨に傘も無い、ひとりぼっちで駅の場所も知らない、それでも、それなのに、なぜか心は不安じゃなくて、清々しさを煎っていた、時間をかけてゆっくりと。いつの間にね。それでもって自分のものにしたみたいな波を奏でていた。あんた上手だねぇと声がした、綺麗に演奏するねって。音はしない。でもそう聴こえた気がした。今までそんなこと言われたことないや。あーあ。だから自分で言ったのかもなぁ。だって見渡したけれど、次の電車か来るまでの待ち時間ずっとくねくね前髪を気にしながらあほみたいに腕伸ばし切って自撮りし続けてたアオムシ程度の顔面レベルの20歳そこそこの男が隣の隣の隣のイスに座ってただけだったんだもの。このインスタント野郎。間違えたインスタ野郎。頑張って蝶になれよ、それから写真好きなだけ撮りな。中々電車は来なかった。言葉も交わさず、時間も数えず、でも時間が経った。パンフレットを読み流すかのように いつのまにか得てた知識みたいな自然な共鳴感度で ユラユラめの目線と架線、ネイビーグレーの空、それから思考 に、すっと馴染んできた言葉がある。ああ、こんな状況で心細くて不安で泣き出したくて仕方なくならないのは、いつからだろう、うん、分からないけれど、いつから平気な自分になったんだろう、分からんけどサお前、つまりそうならないって言うのは、やっぱりもう大人になってしまったんだろうなって。ただそれ。それだけです。その言葉の整列乗車が成し得た得られた瞬間、準特急新宿行きがホームに来た。イスは対面式の2×3で、無駄に綺麗だった。あのままずっとあそこに居ても良かったな。そうやって帰らなければ今日が無かったことになったのかも知れない。誰かが話しかけてくれたかな。どうしたんですか?あなたの家 たぶん八王子でしょう?だってそう言ってくれって顔、してるんだもの。7月には引っ越したい。やっぱ無理かな。やっぱあのままあそこに居ても良かったな。でも実際のとこは雨粒をひとつも躱せずにずぶ濡れになっただけだった。まあでも、そんなに濡れてもなかった。指先でジーンズを撫でて、指に青が付かなくて もう今更大した事なんて分からなくて そう思った。誰かが守ってくれたのかな。そうかもな。そうだったのかもしれない。そうだったら今度お礼しないと。頑張ってありがとうって。ちゃんと好きになって貰えるように。

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